裁判所ミセス裁判判例 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-18758.pdf
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住友生命ミセス裁判の判例(判決文)において、原告(女性職員)側が「嫌がらせ」として主張し、裁判所が「嫌がらせ(不法行為)」とは認定しなかったものの、「会社側の業務上の都合」などを理由に会社側も行っていたことを認めている、あるいは裁判所が事実として存在を否定しなかった(存在が確認されている)手法を中心にリストアップします。

一般的な目線で見れば、これらは特定の労働者を精神的・肉体的に追い詰める「嫌がらせの手法」として十分に機能し得るものばかりです。

1. 家族を巻き込んだ圧力・不利益な扱い

  • 夫の職場への訪問と退職強要
    • 管理職(総務課長と保全課長)が女性職員の夫の職場まで出向き、「奥さんを辞めさせてくれ」と直接説得した。(裁判所は「会社が既婚女性の勤続を歓迎しない姿勢」の現れとして事実認定)
  • 夫の遠距離配転(転勤)
    • 同じ会社に勤務する夫を、片道2時間20分(往復4時間半)かかる和歌山や奈良などの遠隔地へ18年間にわたり配転した。(裁判所は「嫌がらせのために配転した証拠はない」として違法性は否定したが、配転が行われた事実自体は会社側も否定していない)

2. 妊娠中・育児中の不当な配置と業務負担

  • 妊娠中の「立ち仕事・力仕事」の継続強要
    • 切迫流産の恐れがある妊娠中の職員が、立ち仕事や力仕事の多い手配グループからの業務変更を申し出たが、拒否してそのまま担当させた。(裁判所は「妊婦に不向きな過酷な仕事とはいえない」として嫌がらせを否定したが、配置を継続した事実は認定)
  • 妊娠中の階層移動(2階への配置)
    • 妊娠7ヶ月の職員を1階から2階へ配置変更した。(裁判所は「営業職員との連携をスムーズにするための業務上の必要性」として嫌がらせを否定したが、配置変更の事実は存在)
  • 育児時間取得中(残業困難時)の特定業務への配置
    • 産休明けで育児時間を取得中(残業ができない状態)の職員に、付替業務などの特定の業務を担当させた。(裁判所は「大変な激務であった事実はない」として嫌がらせを否定したが、業務を担当させた事実は認定)
  • パイプ椅子運び等の力仕事の付与
    • 産休明けの職員に対し、月1回の大会のためにパイプ椅子を1階から4階まで運ぶ作業を行わせた。(裁判所は「頻度が少なく男性も含めて行っていた」として嫌がらせを否定したが、作業の事実自体は存在)

3. 短期間での頻繁な配転や通勤負担の増加

  • 短期間における異常な頻度の配転
    • 妊娠・出産に伴う時期に、約1年半の間で半年ごとに4回もの業務変更や配転(転勤)を繰り返した。(裁判所は「業務上の必要性があった」として嫌がらせを否定したが、配転の事実は存在)
  • 育児中の「通勤時間延長」を伴う配転
    • 育児時間取得期間が終了した直後に、乗り継ぎが必要で通勤時間が長くなる支社へ配転した。(裁判所は「家庭の事情は考慮せずに決定されるため特別扱いしない」として嫌がらせを否定したが、配転の事実は存在)
  • 調停申立直後の配転
    • 労働行政(婦人少年室)へ差別是正の調停申請を行った直後に配転した。(裁判所は「報復ではない」としたが、異動の事実は存在)

4. 職場での隔離と「単純作業」への限定

  • ルーティン業務の剥奪と限定的な業務の付与
    • 特定の女性職員に対し、ルーティン業務を任せず、電話当番の席で手回し式の内線電話を取る業務や、コピー・印刷などの業務のみをさせた。(裁判所は「遅刻や欠勤が多く他のメンバーに迷惑がかかるため」という会社側の主張を汲み嫌がらせとはしなかったが、業務を単純作業に限定した事実は存在)
  • 特別席での「ミスリスト整備」等の集中担当
    • 産休明けの職員らを1箇所に集め、解約処理後の書類処理やミスリスト整備などの業務を担当させた。(裁判所は「隔離や見せしめではない」としたが、特定の席に集めて特定の事務処理を担当させた事実は存在)

5. 祝い事からの意図的な排除

  • 社長名の「結婚祝賀電報」の打ち切り
    • 結婚後も働き続ける女性職員に対しては、社長名の結婚祝賀電報を打電しないようにする取り扱いを行った。(会社側の内部文書が存在し、裁判所も事実として認定)

6. 制度利用を理由とした一律の低査定(昇給・昇格差別)

  • 法的権利の行使に対するペナルティ
    • 産休や育児時間、有給休暇といった労働基準法上の権利を取得し、残業ができない等の事情を「労働の質・量がダウンした」とみなし、一律に標準より低い査定を行った。(※これについては、裁判所も「人事権の濫用(不法行為)」として明確に違法性を認定しています)

総括 裁判所は、企業の「人事権」や「業務命令権」の裁量を広く認める傾向があるため、会社側が「業務上の必要性」や「本人の能力・勤怠の問題」といった”後付けの理由”を主張した場合、それが明らかに虚偽であると証明されない限り「違法な嫌がらせ」とは認定しにくい構造があります。

しかし、一般的・客観的な目線で見れば、**「妊娠・育児・権利行使(調停申立など)といった会社にとって不都合なタイミングを狙いすましたかのように、過重な業務を与えたり、逆に仕事を取り上げたり、通勤負担を増やしたり、夫にまで圧力をかける」**という行為が存在していたことは、判決文に記載された事実関係から紛れもなく浮かび上がっています。  

裁判という「個別解決」の限界