被災者と大阪人事室長のやり取りの本質
■ 結論
本件の問題は、未払い賃金の有無ではない。
行政が判断しないまま処理が終了し、その結果として企業が「適切」と主張できる構造にある。
■ 何が起きていたのか
本件では、被災者と会社の間で以下のやり取りが行われている。
-
被災者
→ 実労働に基づく未払い賃金を主張
→ 客観資料の開示を要求 -
会社
→ 実労働時間は認定しない
→ PCログ等の限定的な基準で算定
→ 「最大限支払った」と主張
■ 被災者側の主張(要約)
- 長時間労働の存在
- 適正な賃金未払い
- 客観記録(IDカード、ログ等)の存在
- 業務上の強制性
- 身体被害の発生
■ 会社側の対応(要約)
- 実労働時間は把握していない
- PCログを基準に算定
- 実労働と一致しない可能性を認識
- 自己申告可能だったと主張
- 資料開示を拒否
- 説明を打ち切り、労基署へ誘導
■ 本質①:議論の土俵が一致していない
- 被災者 → 実態(実労働)
- 会社 → 形式(ログ)
→ そもそも同じ問題を議論していない
■ 本質②:労働時間の定義がすり替えられている
会社は
「PC使用時間 ≒ 労働時間」
と扱っているが、
実際には
PCを使わない業務が存在する。
→ 労働時間の定義そのものが再構成されている
■ 本質③:使用者責任の転嫁
会社の主張:
「自己申告できたはず」
本来:
労働時間の把握は使用者の責任
→ 責任が労働者側に転嫁されている
■ 本質④:客観記録の選別使用
- IDカードログ → 無視
- 複合機ログ → 無視
- PCログ → 採用
→ 記録がないのではなく、選んでいる
■ 本質⑤:争いを作ることで判断を止める構造
会社の説明:
- 把握していない
- 判断できない
- 実労働と一致しない可能性
この結果:
労働時間が確定しない
→ 未払い額が確定しない
→ 違法性も判断されない
■ 本質⑥:行政判断の停止
労基署は最終的に
「必要な対応は完了」
として処理終了
しかし実態は
判断が示されないまま処理が終了している
■ 構造の整理
① 被災者が事実を提示
② 会社が評価を止める説明を行う
③ 労基署が判断を行わず終了
④ 企業が「問題なし」と主張可能になる
■ 到達点
違法かどうかが判断されなかったのではない。
判断が示されない構造によって、違法性の検討そのものが回避された。
■ さらに重要な点
重要:
企業側の制度理解の程度によっては、
どのような説明を行えば行政判断が停止するかという点まで含めて、
対応を設計することが可能となる構造が存在している。
■ 総括
本件は個別の労働問題ではない。
行政において判断が示されない場合に、企業側が適法性を主張し得る構造の実例である。