労災申請に対する不利益な配転と過重業務(原告P4の事例)
労災を申請した労働者、あるいは労災認定を受けた労働者に対する過重な業務負荷の継続や不利益な配置転換についても、判決文にその実態が記録されています。
判決文に記録された事実関係
原告P4は、業務量の激増(付替件数3万7千件への増加等)と長時間の時間外労働により「頸肩腕障害」を発症し、労働基準監督署に労災申請を行いました。その前後において、以下の事実が記録されています。
- 労災申請中の異動(配転) 同原告が頸肩腕障害の治療を継続し、労災申請を行っている最中であったにもかかわらず、会社側は突然、極めて業務多忙な別の月掛支社への転勤を命じました。
- 労災認定後の過重業務の継続 その後、労働基準監督署により同原告の頸肩腕障害が「業務上疾病(労災)」であると正式に認定されました。しかし、認定前後で仕事の内容が軽減されることはなく、1包み3キログラムにも及ぶパンフレット等の注文・発送など、肩や腕、腰に負担のかかる業務を担当し続けました。さらに支社合併の際には、600箱にも及ぶ箱詰めや運搬といった重労働にも従事しています。
- 21年間にわたる最低評価の継続 上記のような過酷な就労環境下で業務をこなしていたにもかかわらず、同原告の昇給額は21年という長期間にわたり、全体の10%以下にしかつけられない最低水準(昇給60円)に据え置かれました。
司法の判断(不法行為の認定)
裁判所は、これらの労災被災者に対する一連の低査定や不利益取扱いに対し、極めて明確な判断を下しています。 判決では、 「労災によって休業した場合、休業の原因が使用者にあることからすれば、この休業を労働者の不利に扱うことは原則としてできないものというべきである」 と指摘し、合理的な理由なく他の従業員と差別し低い査定を行うことは 「不法行為になることは疑いない」 として、会社側に損害賠償を命じました。