消された「正論」:東京労働局の公式サイトが示していた遅延利息の根拠
労働者が正当な権利を主張する際、最大の拠り所となるのは行政が公表している指針です。かつて東京労働局の公式サイトには、未払い賃金に対する年14.6%の遅延利息について、疑いようのない事実が掲載されていました。
現在閲覧不能の「未払賃金とは」東京労働局サイト webarchiveより
少なくとも2025年2月17日までは存在がWebarchiveによって確認できる。
現在、このページは削除されアクセス不能となっていますが、そこに記されていた「法的な常識」と、本件における企業の対応を対比させると、労働者が置かれた過酷な現状が浮き彫りになります。
1. 労働局が明示していた「遅延利息」の定義
削除された東京労働局のページでは、退職後の未払い賃金について明確に以下の通り記述されていました。
-
年14.6%の利息: 退職の日までに支払われなかった賃金には、この高い利率の利息がつくとされています。
-
根拠法: 賃金支払確保法第6条に基づく、労働者の正当な権利です。
-
民事上の請求権: これは単なる努力目標ではなく、民事上請求できる権利として定義されていました。
2. 「指針」と「現実」の乖離
被災者がこうした公的な指針に基づき請求を行っている一方で、大阪人事室長は「未払い賃金について争っており、遅延損害金を支払うことは考えていない」と一蹴しています。20220415大阪人事室長
-
法の不知か無視か: 行政が「つくこととされている」と明記している利息を、企業が「支払うつもりはない」と否定する。この態度は、法治国家における企業のあり方に疑問を投げかけます。
-
検証不能な算定: そもそも企業側は、算定の基礎となる就業規則等の開示を拒んでおり、利息を計算するための「正確な未払い額」を検証することすら困難な状況を維持しています。
3. 消えゆく情報のなかで孤立する労働者
ウェブサイトの更新等により公的な情報が消えていくことは珍しくありません。しかし、「行政の指針が消え、企業の不誠実な回答だけが残る」 という現状は、労働者にとって情報の武器が奪われていくことを意味します。
-
説明の打ち切り: 企業側は「今後は労基署を通じて確認しろ」と回答を打ち切りましたが、その労基署も最終的には「必要な対応は完了した」として判断を停止しています。
-
残された「不払い」: 公式サイトから指針が消えても、賃確法という法律が消えたわけではありません。しかし、企業が「支払わない」と言い切り、行政が「判断しない」のであれば、法は事実上、機能不全に陥っています。
■ 結論
この1ページは、かつて確かに存在した「行政の正論」を記録に留めるためのものです。
たとえ公式サイトから記述が消えようとも、「退職後の未払い賃金には14.6%の利息がつく」という事実は変わりません。その正当な権利を「紛争中だから」という身勝手な理由で否定し続ける構造こそが、本件の異常性を物語っています。