1. 法律が定める「延長可能期間の制限(最長4年)」
雇用保険法第20条第1項では、基本手当の受給期間は原則として「離職の日の翌日から起算して1年」と定められています。 しかし、その期間内に病気やケガ(労災による就労不能を含む)などの理由で引き続き30日以上職業に就くことができない場合、公共職業安定所長(ハローワーク)に申し出ることで、働けなかった日数を加算(延長)できるとされています。
そして同条項の括弧書きにおいて、この延長には絶対的なタイムリミットが設けられています。
「雇用保険法第20条第1項(前略)当該理由により職業に就くことができない日数を加算するものとし、 その加算された期間が四年を超えるときは、四年とする。」雇用保険法第20条第1項(抜粋)
つまり、どんなに長期間の療養(労災)であっても、失業手当を受け取るための期間は「退職日から最長4年間」で完全に消滅してしまうという制限があります。
2. 本件の時系列
- 2021年8月17日:
会社が主張する退職日。ここから受給期間(延長含め最長4年)のカウントが開始。20210817受信 - 2023年6月12日:
700日に及ぶ労災の休業補償給付が終了。 (=この時点でケガの療養に一区切りがつき、「労働の意思と能力がある(失業手当を受け取れる)」状態に復帰)700日の就労不能を示す労災支給決定通知書(一部公開) - 2023年8月14日:
休業補償の終了を受け、先延ばしにしていた失業手当を受給するため、ハローワークへ離職理由の異議申し立てを実施。雇用保険受給資格者証(仮)
退職からすでに約2年が経過しており、最長4年のリミットの折り返し地点に来ていました。休業補償が打ち切られ、いよいよ生活の糧として失業手当の受給手続きを進めなければならないという、労働者として当然かつ切実なタイミングでの異議申し立てでした。
3. ハローワークによる「5か月の放置」の真の悪質性
このような切実な状況下で行われた異議申し立てに対して、ハローワークは 「約5か月間も放置」 しました。
「5カ月の審査」の実態:ハローワークによる職権調査の不作為
この放置は単なる「事務処理の遅れ」では済まされません。 休業補償が終わり無収入となった被災労働者に対して、生活基盤となる失業手当の受給開始を5か月間も保留させ、被災労働者を経済的に不安定な状態に置いたことになります。 さらに、受給期間には「最長4年」という絶対的なタイムリミットが存在するため、行政が判断を長引かせれば長引かせるほど、労働者が手当を全額受給しきるための時間的猶予が刻一刻と奪われていくという、取り返しのつかない不利益を被災労働者に強いる行為であったと言えます。