栃木労働局が自らの公式見解を否定する「究極の自己矛盾」
本件事案において、 栃木労働基準監督署は被災労働者に対し「700日の就労不能(労災)」を認定しています。
労働基準法第19条は、この業務上傷病による療養期間中の解雇(および解雇を潜脱する退職処理)を強行法規として厳格に禁止しています。
700日の就労不能の期間中の解雇
会社側(住友生命)は「合意退職である」と強弁していますが、本人の明確な同意がない以上、これは解雇制限を逃れるための違法な潜脱行為にほかなりません。では、この会社の処理が「適法」となる可能性が法律上残されているのでしょうか。
「合意退職」という大前提の完全破綻
栃木労働局は、自らの公式ウェブサイト『労働基準法のポイント(解雇制限)』において、次のように明記しています。
【栃木労働局の公式解説】 「労働者が業務上負傷したり、病気になった場合に、その療養のために休業する期間及びその後30日間(中略)は解雇できません。ただし、使用者が第81条の規定によって打切補償を支払った場合や、天災事変などやむを得ない事由により事業の継続ができなくなった場合はこの限りではありません。」
法律が定める「2つしか存在しない例外」
栃木労働局自らが解説している通り、労基法19条の解雇制限が解除されるのは、
- ①使用者が1200日分の「打切補償」を支払った場合
- ②「天災事変等の不可抗力」によって事業が倒産等した場合
の、2つのケースのみに限定されています。
本件に当てはめて検証します。
- 打切補償の支払いはない:住友生命は被災労働者に対して労基法81条に基づく 「打切補償」を一切支払っていませんし、支払わないと回答しています。
住友生命勤労部_第二回回答書
打切補償すら拒絶せざるを得ない理由
- 天災事変は起きていない:退職処理が強行された2021年8月当時は、 たしかに新型コロナウイルスのパンデミックの最中ではありました。 しかし、 住友生命小山支社を含む日本社会において、事業継続が不可能となるような法的な「天災事変」など発生していませんし、それに伴う労働基準監督署長の除外認定も存在しません。 また、東日本大震災時でさえも解雇は厳しく制限されたようです。(厚生労働省謹製のパンフレット)
結論:栃木労働行政の自己矛盾
例外規定のどちらも満たしていない以上、住友生命が700日の就労不能期間中に強行した退職処理は、法律上「労基法19条違反(の潜脱)」として認定・是正されなければならない事案です。
にもかかわらず、栃木労働基準監督署は 「当事者間で退職日に争いがあるから」という理由で調査を放棄し、 必要な対応はすべて完了したと宣言しました。
最終判断はどこにも存在しなかった
これは、栃木労働局および労働基準監督署が、自らの公式ウェブサイトで説明している「絶対的な法律のルール(天災や補償がない限り解雇できない)」を、自らの手で握り潰し、大企業にのみ特権的な「治外法権」を与えたことの証明 でなければどう説明するのでしょう。