繰り返される「不当な幕引き」:岡山支社事件から学ぶ行政の限界

住友生命において、行政(労基署)が「問題なし」と判断しながら、後に司法によってその誤りが断罪された歴史がある。私たちが直面している「処理完了」という言葉の軽さを、過去の事実から問い直す。

■ 1. 岡山支社労災不支給事件(16年の闘い)

かつて岡山で起きた事案では、入院中の営業職員が病床で契約を獲得していた事実がありながら、労基署は極めて形式的な判断を下した。

  • 当時の労基署の判断: 「入院中なので過重業務は継続していない」として不支給。

  • 司法の判断: 16年にわたる行政訴訟・民事訴訟を経て、労基署の判断を覆し、業務起因性を認めた。

歴史が証明する「行政の誤謬」

行政が一度「問題なし」とした判断が、16年後に「誤り」であったと証明された事実。これは、現在の労基署が放つ「必要な調査は完了した」という言葉が、決して絶対的な正解ではないことを示している。

出典:裁判所 裁判例検索

https://www.courts.go.jp/hanrei/search2/index.html

岡山支社_国8p.pdf 岡山支社_国18p.pdf 岡山支社_民事20p.pdf

■ 2. 構図の完全な一致

岡山での事件から長い年月を経た今、再び同じ企業で、驚くほど似通った構図の事案が発生している。

比較項目岡山支社事件(過去)今回の事案(現在)
実態入院中に営業活動を強行700日の就労不能・解雇制限期間中の退職
企業の姿勢責任を否定業務の存在自体を否定(「やらせていない」)
行政の対応「問題なし」として不支給「調査完了」として指導・送検なし
救済の障壁最終決着まで16年行政が「これで終わり」と門前払い

■ 3. 「制度の死」を告げる行政回答

総務省行政相談を通じて示された労働基準監督署の回答は、冷徹な一言であった。

「当署が相談者から受け付けた相談については、必要な調査等の対応は全て完了している。」

この回答は、かつて岡山で「問題なし」と切り捨てられた判断と、本質的に同じではないか。

結論

労働基準監督署の目的は「労働者の安全や健康を守り、適正な労働条件を確保すること」にある。

しかし、立ち入り調査権限を持ちながら、企業の否認を前に調査を打ち切る今の姿勢は、果たしてその目的を果たしていると言えるのか。

行政が「完了」と呼ぶものは、被災者にとっては「絶望の始まり」でしかない。

司法の場での争いは、リソースの無限な大企業と、負傷し職を失った個人の、あまりにも不平等な闘いである