―― 栃木労働局・職業安定部課長補佐の対応記録が示す責任消失構造
1. 違法行為の証拠を前にした「調停」への執拗な誘導(行政権限の放棄)
2022年4月28日、被災者は新年度の労働局面談において、未払い賃金や不当な賃金控除といった明確な違法行為の証拠・法的根拠を列挙し、行政としての指導を求めました。 しかし、栃木労働局職業安定部課長補佐は、同日午後に被災者が予定していた栃木労働基準監督署での労災面談に「同席」という理由で追いかけ(一般道で約27kmを移動)、そこで自ら「調停申請書」を提示し、調停の利用を勧めるという行動をとりました。
【矛盾点】 「調停」とは、あくまで当事者間の話し合い(譲り合い)による民事的な紛争解決手続きです。客観的な労働法令違反や障害者虐待を疑わせる証拠が存在している状況下で、行政が自らの強大な権限による「事実調査」や「是正指導」を行わず、わざわざ27kmも離れた別機関(労基署)まで出向いて当事者間の話し合いへと誘導する行為は、行政の存在意義そのものを放棄する自己矛盾です。
2. 「たらい回し」による行政判断の回避(責任転嫁)
さらに同氏は、使用者による障害者虐待等として自らが処理すべき事案について、「栃木労働基準監督署の報告を待ちたい」「時間が掛かる」等と回答し、自らの調査や判断を保留しました。
【矛盾点】 労基署は「労働基準法違反」を調査する機関であり、「障害者虐待の認定」やそれに伴う「助成金の適正運用」の判断は労働局(職業安定部等)の所管です。この職業安定部課長補佐の対応に対し、労基署側は「それは労働局の仕事だが、労働局へは労基署の立場からは言いにくい」1と困惑を示しています。自らの所管業務の判断を別機関にすり替えることで、結果的に「どこも最終的な判断を下さない」という不作為の空間を意図的に作り出しています。
3. 公的認定を黙殺した「証拠がない」という強弁(事実の歪曲)
最も決定的な矛盾は、他機関が認定した公的事実すらも黙殺して処理を終結させた点です。 労働局の内部資料には、本件事案について「10月末に労災認定となった。時間外手当についても22万円を会社側が提示した」と記載し、事実を把握していたことが記録されています。にもかかわらず、同資料では「証人や証拠を提示することができず」「虐待の有無について確認できなかった」として、本件を「不明(事実上の問題なし)」として処理を終了させています。 労働局職業安定部の使用者による障害者虐待への対応
【矛盾点】
- 労災認定の黙殺: 労基署が700日の就労不能を「業務起因性(労災)」と認定したということは、会社側が「やらせていない」と主張していた業務が存在したことを国が公的に存在を認めたことを意味します。
⇒700日の就労不能を示す労災支給決定通知書(一部公開) - 厚労省基準の黙殺: 厚生労働省は「賃金不払いは障害者に対する経済的虐待として計上する」と明言しています。未払い賃金が存在したことは客観的証拠で確認されています。
⇒回答メール_使用者による障害者虐待
結論
栃木労働局職業安定部課長補佐の対応の異常性とは、 「客観的証拠が提示されても自ら判断せず(調停への誘導)、他機関へ責任を転嫁し(たらい回し)、いざ他機関が労災や未払い賃金という公的認定を下しても、それを『証拠がない』と黙殺して企業を擁護した」 点にあります。
これは一担当者の事務的なミスではなく、巨大企業へのペナルティ(全社的な助成金停止等)に波及することを恐れ、いかなる手段を使ってでも「行政としての違法認定(判断)」を回避しようとする、日本の労働行政の深刻な機能不全を体現した対応と言えます。
⇒他社事例にみる証拠隠蔽と行政の対応、そして絶望的な司法判断